7月10日朝、九州北部に豪雨が降り、各地で災害が発生しました。
井波さんの住む田主丸地域にも大きな被害が出ました。土砂災害が発生し、大きな岩、電柱・車・木と様々なものが流れた。その中には「頑丈なもの」と思っていた「家」もあり、見たことがない姿になっていました。
井波さん「見慣れた景色が一瞬で変わって、書き換えられてしまうのは衝撃的でした。」
井波さんの中に、これまでの災害の際に感じた悔しい気持ちがよみがえりました。
井波さん「熊本地震や九州北部豪雨の際に両親がボランティアに行っていて、自分も行きたかったけどまだ小学生で参加ができませんでした。何かしら力になりたかったです。」
しかし、今回はもう身体も成長しボランティアとして活動することができます。
井波さん「部活動の関係で身体を鍛えているのですが、今日この時の為に鍛えていたのかもと自分を鼓舞して作業にあたりました。」
まずは近隣の被災家屋の泥かきからはじめましたが、1軒の復旧が完了するまで2週間はかかるなどなかなか進まない上に、人手不足にも直面しました。
井波さん「田主丸の街中の方は浸水被害が多くて、浸水のほうはボランティアの作業がしやすいんですよ。でも土砂災害になると力仕事がとても多いうえに、感染症などの危険もあったり、大きな機械とかが必要になって、なかなか人が来れませんでした。濡れた畳なんかは物凄く重くて大変でした。」
晴れた日は率先して泥かきなどに参加し、そのほかの日は避難所でのボランティアも行いました。
井波さん「特技であるアートバルーンを活かして、避難所となっている小学校で子どもたちに披露して一緒に遊ぶことで、心のケアに取り組むこともできました。ボランティアは災害の際にどう動くかなど自分の為でもあるのかと思います。」
ボランティアの中で多くの人との交流が生まれました。
井波さん「道ですれ違った時に挨拶するくらいだったけど、一緒に泥かきをしていると会話が増えました。これまでよりずっと深くお互いを知ることができました。」
なんと芸能人の方もボランティアに来られていたそうです。
井波さん「タレントのはるな愛さんがボランティアに来てくださって一緒に作業しました。とても気さくで明るく、現場が活気づきました。」
豪雨から半年となりますが、まだ復旧は終わっていないそうです。
井波さん「まだ終わってなくて、小学生の通学路のそばに瓦礫が積みあがったところとかもあって、早く綺麗にしてあげたいです。砂防ダムも壊れていてまだ危ないところもあります。」
災害は多くのものを奪っていきましたが、その反面大きなものを得たと感じているそうです。
井波さん「地域の方との強いつながりや、災害の現場で臨機応変に動く力がついたように思います。こういった経験をしたということが大きいです。あと筋肉もさらにつきました(笑)。」
実は井波さんの自宅も被災しており、まだ復旧は完了していません。
しかし、「うちはまだ軽いほうだから」と被害が大きかったところのボランティアを継続して行っています。
井波さんは現在6年生で今度の3月で卒業です。これからの夢などの実現に今回の災害で経験したことや、自ら考え行動したことがきっと井波さん自身の力になると思います。