第73回 全国高等学校PTA連合会大会 茨城大会報告
(令和6年月22日(木)・23日(金))
福岡県立輝翔館中等教育学校
PTA副会長 塘田 仁美
8月22日(木)~23日(金)に 茨城県水戸市で行われた、全国高等学校PTA連合会大会茨城大会の報告をします。本校からは、鹿田校長と私、塘田が参加しました。
〇大会1日目(8月22日)ザ・ヒロサワ・シティ会館・・第2分科会
茨城県内に5会場が設けられ、私たちは第2分科会の会場である、ザ・ヒロサワ・シティ会館で開会行事、分科会に参加しました。(各会場それぞれで開会式)
オープニングのアトラクションとして、水戸工業高等学校ジャズバンド部BLUE BEGINNERSによるジャズの演奏を聴きました。
創部40年目、部員数40名からなるこのバンドは、毎年のジャズコンテストで上位を獲得し、東日本代表にも選出されているそうです。演奏はもちろん素晴らしく、高校生らしい元気の良さと若さも同時に感じられました。
その後、第2分科会(テーマ「保護者・教師・生徒が抱える問題と解決法」)では、2つの講演を聞きました。
講演1は、司馬クリニック院長 医学博士 司馬 理英子 先生による「のび太・ジャイアン症候群」と題して、発達障がいの種類と特徴が紹介されました。多動性及び衝動性が特徴の「ジャイアン型」、不注意が特徴の「のび太型」など分かりやすく分類して説明されました。保護者や教師が子どもたちと接するときの上手な褒め方やり方、また、発達障がいの原因が親のしつけや教育の問題ではなく、脳機能の障がいによるものだとの理解があれば、接し方も変わってくるとお話いただきました。
講演2は、弁護士の有馬 慧(けい)氏から、「18歳になったら気をつけること~18歳になる前に~」と題して、18歳成人について、保護者・教師・生徒が留意すべき点を茨城県のスクールロイヤーとしても活動されている立場から事例を交えたお話でした。具体的には、盗撮だけでなくさまざまな撮影行為が処罰の対象となる「撮影罪」(昨年7月~)の設定や、親などの同意を得ずに結んだ契約は原則あとから取消可能とした「未成年者取消権」が18歳から対象外になるなど、高校生のうちから学んでおく必要性を話されました。
〇大会2日目(8月23日)アダストリアみとアリーナ
2日目のメインは、記念講演でした。元横綱 稀勢の里で、現在は、二所ノ関部屋親方の二所ノ関 寛 氏から、「人材育成の不易流行」と題したお話を聞きました。親方は現役引退後、早稲田大学大学院で学ばれ、「新しい相撲部屋経営の在り方」をテーマに研究され、それをまとめた修士論文が最優秀論文にも選ばれたということでした。相撲部屋づくりに関しては、これまでの伝統を大事にしつつもスポーツビジネスの三大要素(「勝利」「普及」「資金」)の理念を取入れ、他の相撲部屋にはない全く新しいやり方で成果を出されており、その手法が紹介されました。
二所ノ関部屋の新しい育成方法として、①効率的な稽古のためと地域交流のための二面土俵を作る。(そのためには、首都圏ではなく、親方の出身地である茨城に部屋を設けた。)②食事は1日2食が基本だったのを、栄養バランスを考え、稽古の効率化とケガ防止のために1日3回に。③早朝からではなく9時からの稽古開始と、相撲を取らない日の設定。④伝統的な稽古内容(四股、すり足、テッポウ)は基本運動とし、番付に関わらず全員が同じ時間、内容を稽古。⑤番付順は大事にするが、全員がフラットな立場で、各自の意見が言える環境づくり。⑥従来大部屋で10人くらいが雑魚寝をしていたが、3名程度の個室を多く作る。⑦コンプライアンスの重視(暴力の根絶、各力士に合わせた稽古内容と食事管理)。⑧分担制度で部屋の仕事を分担し、スケジュールも1か月ごとに提示。
親方が現役時代に違和感として感じていた従来の稽古内容や力士の育成法に、現代の効率・効果的なやり方に替えたことの一番の成果は、力士らが自分自身で考えるようになったということでした。結果として、2022年の同部屋の勝率が44部屋中1位になり、確実な成果が現れています。
優しい語り口で、大学院時代に鍛えられたというパワーポイントを使った説明は本当に理解しやすく、結果を残されている大胆な力士の育成改革の講演は非常にためになりました。
来年のこの大会は三重県での実施予定です。
今後も輝翔館のPTA活動にご協力をよろしくお願いします