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お知らせ

第11回卒業証書授与式

2020年03月1日

3月1日(日)卒業証書授与式が行われ、88名の卒業生が巣立っていきました。

式は、新コロナウィルス感染症対策のために、予定を一部を割愛して行いました。校長式辞も割愛して一部しか述べませんでので、次に校長からの挨拶を掲載します。

 

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式辞

例年になく暖かかった冬も終わりに近づき、緑豊かなここ黒木の地にも春の薫りが漂い、藤の花の開花が待ち遠しくなる季節となりました。

この佳き日、福岡県立輝翔館中等教育学校の第11回卒業証書授与式を挙行するにあたり、県教育委員会をはじめ多数のご来賓のご臨席を賜り、保護者の皆様とともに卒業生の門出を祝福できますことは、本校にとりまして大いなる慶びとするところであります。ありがとうございます。

11期生諸君、今から6年前の平成26年4月8日、当時の佐藤和雄校長先生により、君たち107名の入学が許可されました。その入学式の式辞において、「福岡県唯一の県立中等教育学校で、皆さんは同じ仲間とともに、6年間をとおした教育を受けることになります。中等教育学校で過ごす6年間は、同級生や先輩・後輩、そして先生方との絆をより強いものにしてくれます。勉強や部活動のこと、自分の夢や将来のこと等、様々なことについて色々な人と語り合ってください。最初は見知らぬ者同士が、次第に打ち解け、本音で、ものを言えるようになって初めて、仲間と呼べる関係が築かれるのです。そして、互いに助け合い、高め合うすばらしい集団の一員として、本校がめざす「21世紀のACE」に成長していってくれるものと信じています。」という話をされました。覚えていますか。

そして、ここに、総代佐藤龍真くんをはじめ、88名の卒業生を送ることとなりました。栄えある卒業おめでとう。私と11期生とのこの1年間のふれあいの中で、スローガン「輝気翔笑」を掲げ、平日実施に変わった体育大会を見事に創りあげる姿、教室や勉強合宿で懸命に勉強している姿、朝早くから夕方遅くまで職員室前廊下で黙々と勉強している姿、好奇心を持って校長室に物理の質問をしてくる姿などを見ていて、6年間の中で築かれた深い絆と向上心の強さ、人間性の高さを感じていました。

さて、本校が目指す人間像「21世紀でACEとなる人間」でいう「21世紀」とはどんな世紀でしょう。

2001年にはじまり2100年(君たちが99歳となる年です)までの百年間、既に20年が経過しています。2001年にはアメリカ同時多発テロ、2009年には黒人初のオバマアメリカ合衆国大統領誕生、2003年にはヒトゲノムの解読完了、2007年には山中伸弥教授らによる人工多能性幹細胞(iPS細胞)開発、2012年には最後の未発見素粒子ヒッグス粒子発見、2011年には東日本大震災、身近では、2016年の熊本地震、2017年の九州北部豪雨、2018年の西日本豪雨、そして、令和元年千葉・福島豪雨、昨年からまだ続いているオーストラリア森林火災もあります。このように地球規模で起こっている想定外の自然災害を見ると、地球人としての視点を持って生きていくことが求められているように感じます。本校が総合的な探究の時間でテーマとしているSDG’s(持続可能な開発目標)が目指すような「世界中の人々が豊かに、幸せに生きていける持続可能な社会を実現すること」が求められている時代です。

この21世紀の始まりの年である2001年5月、学力の国際化が進んでいく中で生涯学習の必要性が謳われ、21世紀のあるべき教育についての方向性を示した教育関連法案の衆議院での審議中に、当時の内閣総理大臣小泉純一郎氏が引用した言葉に次のような格言があります。

「少にして学べば則ち壮にして為すことあり、壮にして学べば則ち老いて衰えず、老にして学べば則ち死して朽ちず」

これは、江戸幕府が設立した高等教育機関である昌平坂学問所の儒官(今で言えば、東京大学総長)に命じられた佐藤一斎が42歳から40年にわたり記した随想録「言志四録」の中でも最も有名な格言の一つであります。この書は、指導者のための指針の書とされ、約150年前の明治維新の立役者である西郷隆盛の愛読書でもあったと言われています。この格言の意味は、「青少年期にしっかり学べば、社会人になって意義のある仕事を成し遂げることができる。社会人になっても学び続ければ、老年にて生き生きと生きていける。老年時代に学べば死んでもその人望は朽ちない。」という意味です。つまり、学び続けることが大切だということです。これからは「人生百年時代」と言われています。この人生百年時代においては、生涯学び続けることがますます求められています。本校を卒業すれば、勉強が終わったわけではありません。これから本当の学びが始まると思っても過言ではありません。卒業を迎えるにあたり、この格言を11期生に贈りたいと思います。

また、もう一つ贈りたい言葉があります。先ほどあげた西郷隆盛は一人で偉業を成し遂げたわけではありません。島津斉彬、勝海舟、坂本竜馬、橋本左内等々の多くの人々との出会いが偉業につながったと思います。最初に触れた佐藤和雄校長先生もおっしゃっていたように、この6年間で、君たちは、11期生の仲間と出会い、先生方と出会い、先輩と出会い、後輩と出会い、寮生と出会い、学校行事と出会い、部活動と出会い、様々な教科・科目と出会い、それら出会いを通して人間としての在り方や生き方について学んできました。これらの出会いは、君たちの骨となり、肉となり、そして血となっているはずです。

私は、卒業アルバムのメッセージにはいつも「一期一会~この出会いを大切に~」と書いていました。20世紀最高の物理学者、現代物理学の父とも評されている アルベルト・アインシュタインは、「There are two ways to live: you can live as if nothing is a miracle:you can live as if everything is a miracle.」と言いました。

「人生には二つの道しかない。ひとつは、奇跡など何も起こらないと思って生きること。もう一つは、あらゆるものが奇跡だと思って生きること」と言っています。人工知能AIの時代だからこそ、出会う人やもの、出来事を奇跡として捉え、この奇跡に感謝をし、奇跡との出会いを大切にして欲しいのです。

「一期一会~何事も奇跡だと感謝しつつ、出会いを大切に~」という言葉も11期生に贈り、君たちへの感謝の意を表するとともに、晴れある卒業を心よりお祝いしたいと思います。ご卒業おめでとうございます

最後になり、高いところからではございますが、保護者の皆様に一言ご挨拶申し上げます。本日は、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。この日を迎えるまでには、中等教育学校ならではの課題も抱え、保護者の皆様にとりましても様々なご苦労や悩み、不安などもあったことと存じます。だからこそ、感慨も一入のことと拝察いたします。保護者への感謝の気持ちを直接口に出さない生徒もいるかもしれませんが、心の中では深く、深く感謝していると思います。

改めまして心からお祝い申し上げるとともに、6年間、本校の教育活動の充実・発展のために、多大なるご支援とご協力を賜り、この場をお借りして深く御礼申し上げます。ありがとうございました。

結びに、第11期生の皆さんが、福岡県立輝翔館中等教育学校で培った資質・能力をこれからの社会に活かし、すべての人々が幸せに生きることができる「持続可能な未来の社会」を切り拓いてくれることを祈念して、式辞といたします。

令和2年3月1日

福岡県立輝翔館中等教育学校長 江﨑 章

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